非上場株式の評価が変わる?見直す内容と今後のポイント

非上場株式評価の最新動向

非上場株式の評価方法が、
大きく変わる可能性があります。

国税庁が現在、相続税・贈与税における「取引相場のない株式」の評価方法について、抜本的な見直しを進めています。

今回の論点は、単なる計算式の微修正にとどまりません。長年使われてきた類似業種比準方式、純資産価額方式、配当還元方式を含め、非上場株式の評価体系そのものが大きく変わる可能性があります。

現時点では具体的な改正内容は決まっていませんが、事業承継や相続を予定しているオーナー企業にとっては、今後の動きを確認しておきたいテーマです。

見直しの背景にある「評価額の大きな差」

現在の非上場株式評価では、原則として、大会社は類似業種比準方式、小会社は純資産価額方式、中会社は両者を併用する方式で評価します。

ところが、会計検査院の調査では、類似業種比準価額の中央値は、純資産価額の中央値の27.2%にとどまりました。

さらに、これを受けて国税庁が別の期間の申告データを用いて700社を調査したところでも、その割合は約26.1%となっています。

もちろん、純資産価額と企業価値が一致するわけではありません。ただ、適用される評価方式によって税務上の株価に大きな差が生じる現在の仕組みについて、国税庁は妥当性を改めて検証しています。

また、現在の制度が株価引下げ対策に利用され得る点も問題意識として示されています。

  • 配当・利益や会社規模等を調整することによる評価額の圧縮
  • 持株会社化や子会社等への資産移転を利用した評価額の引下げ
  • 会社規模区分や評価方式の違いを利用した株価対策
  • 配当還元方式が適用される株主を作り出すことによる評価額の圧縮

類似業種比準方式はどうなる?

最大の焦点の一つが、類似業種比準方式を今後どのような形で残すのかという点です。

現在の有識者会議では、会社規模によって評価方式を大きく変える現行の枠組み自体も見直しの対象となっています。

現時点で「類似業種比準方式を廃止する」と決まったわけではありません。

純資産価額方式についても、一般の事業会社について資産・負債を中心に評価する現在の考え方が、企業の実態を適切に表しているのかという論点があります。

今後は、M&Aなどで用いられる企業価値評価の考え方も参考にしながら、企業の収益力などをより適切に反映する評価方法が検討される可能性があります。

配当還元方式の「10%」も見直しの対象

一定の少数株主に適用される配当還元方式も重要な論点です。

現在使用されている10%の還元率は、昭和39年当時の金利等を参考に設定されたもので、その後長期間にわたり維持されています。

そのため、現在の金利環境等を踏まえて、10%という還元率が今も合理的なのかが検討されています。

さらに、還元率だけでなく、そもそもどのような株主について配当還元方式による評価を認めるべきなのかという適用範囲も議論の対象となっています。

「株式の評価」と「事業承継支援」を分けて考える方向へ

今回の見直しを考えるうえで重要なのが、株式を適正に評価することと、事業承継を政策的に支援することを切り分けるという考え方です。

国税庁の有識者会議では、相続税法の「時価主義」のもとで、適正な株式評価のあり方を検討することが示されています。

株式評価は適正な時価を算定する仕組みにし、事業承継に伴う税負担への配慮は事業承継税制など別の政策税制で対応する。

まだ制度改正の内容が確定したわけではありませんが、この方向で見直しが進めば、従来の非上場株式評価の考え方は大きく変わる可能性があります。

自社株の評価額は上がるのか

現時点では、すべての会社の株価が上がるとはいえません。

国税庁も、今回の見直しは評価の適正化を目的とするものであり、全体として相続税の増税を目的とするものではないと説明しています。

一方で、次のような会社や株主は、制度変更の影響を受けやすい可能性があります。

  • 類似業種比準価額と純資産価額の差が大きい会社
  • 配当額や利益額によって類似業種比準価額が大きく抑えられている会社
  • 持株会社や子会社等を利用した資産保有形態となっている会社
  • 配当還元方式が適用される株主がいる会社

したがって、今の段階で重要なのは、単に「現在の自社株価はいくらか」を確認することだけではありません。

なぜその株価になっているのか、どの評価方式・評価要素によって株価が低く、または高く算定されているのかを把握しておくことが重要です。

次の注目日は2026年8月20日

現時点では、具体的な改正内容はまだ決まっていません。

次の大きな節目となるのが、2026年8月20日に開催される第5回有識者会議です。

国税庁は、評価方法の見直しについての「たたき台」となる事務局案を第5回会議で示したいとの考えを明らかにしています。

さらに、今回の見直しについては、2026年秋を目途に一定の方向性を示す方針も示されています。

まとめ

今回の非上場株式評価の見直しは、単なる計算式の変更ではなく、「非上場株式の時価をどのように算定するのか」という制度の根本に関わる議論です。

  • 類似業種比準方式と純資産価額方式の評価差が問題視されている
  • 会社規模によって評価方法を分ける現在の枠組みも見直し対象となっている
  • 配当還元方式の10%の還元率や適用範囲も検討対象となっている
  • 株式評価と事業承継への政策的支援を切り分ける方向性が示されている
  • 2026年8月20日の第5回有識者会議が次の大きな注目点となる

事業承継や相続を予定しているオーナー企業では、制度が決まってから慌てて確認するのではなく、現在の自社株評価がどのような仕組みで成り立っているのかを今のうちに把握しておくことをおすすめします。

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※本記事は2026年8月16日時点で公表されている内容に基づく一般的な情報提供を目的としています。今後の検討状況や税制改正により内容が変更される可能性があります。具体的な税務判断については税理士等の専門家へご相談ください。

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